歯周外科とは?
- 中等度以上に進行した歯周病に対して行う外科措置を『歯周外科』といいます。
歯周外科の方法は、まずは歯周ポケット奥深くに進行した歯垢(プラーク)や歯石などを、歯肉を切開し、根本から取り除く外科的処置(フラップ手術)。
そして、歯周病により顎の骨量が少なくなっている場合は、骨を補填する治療『骨造成』を行います。
また、歯周病によって衰退した歯ぐきによる噛み合わせ悪化に対して、ジルコニアなどの被せ物による審美歯科を行い、噛みあわせを改善させる処置。このような3つの段階で、歯周外科は治療を行います。
歯周外科の流れ
- フラップ手術による処置
- 歯周ポケット奥深くに侵入した歯垢(プラーク)や歯石を、歯肉を切開して取り除く治療を行います。
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- 骨量が少ない場合の骨造成
- フラップ手術を行い、歯周病で顎の骨量が少なくなっている場合、骨量を補填する処置を行います。
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- かみ合わせを改善する治療
- 歯周病により歯の噛み合わせが損なわれた場合、ジルコニアなどを使った被せ物で噛みあわせを改善します。
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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)
- 歯周ポケット奥深くに歯垢(プラーク)や歯石が進行している場合、通常のスケーリングでは汚れや感染した組織を取りきれない場合があります。その場合は、麻酔の注射を歯茎に行い、歯茎を切り開いて取り除くフラップ手術(歯肉剥離掻爬術)を行います。
状態によっては、感染している歯茎を切除することもあります。スケーリングでは歯肉がかぶさって限界がある除去を、フラップ手術は、歯茎を切り開いて目視下で処置しますので、隅々まで確認しながら取り除くことができます。
フラップ手術を受けられる際の注意
- 術後に麻酔が切れると痛むことがありますので、その場合はお渡しした痛み止めを服用してください。
- 歯茎を切り開きますので、処置が終われば歯茎を縫い合わせます。抜糸は1週間前後で行いますが、その間傷口を刺激しないように(指で触ったり、歯ブラシでこすったりしないように)してください。
- フラップ手術後も、毎日丁寧な歯磨き、規則正しい食生活を続けることが大切です。不衛生な状態であると、再発のリスクが高まってしまいます。
- 術後も再発防止のため、定期的に検診とメンテナンスを受けることをお勧めしております。
その他の歯周外科治療
- 歯肉整形術
- 歯茎が炎症を起こして腫れあがってしまった場合に行われる手術です。不要な歯茎を切除し、歯と歯茎の間に食べカスやプラークが停滞しにくい環境を作ります。炎症によって顎の骨が痩せてしまっている場合は、同時に歯周組織再生療法を行うこともあります。
骨量を正常な状態に戻す骨造成
- 歯周病の進行により、顎の骨が少なくなり、健康な歯を支えることができない状態の場合があります。フラップ手術などでプラークを取り除いても骨量が少なければ最悪抜歯という事になりかねません。そこで、歯周病によって少なくなった骨量を、骨補填材を使って正常な量に戻す手術を行います。
歯周外科は単純に、プラークなどを取り除いて終わりではなく、長く健康的に機能する口腔内を取り戻す治療です。
歯槽骨整形術
歯周病の影響によって、顎の骨が部分的に痩せ(吸収され)、骨の形がでこぼこになることがあります。
そのままの状態ではプラークが停滞しやすく、歯周病がさらに進みやすいことが考えられます。それを改善させる一つの方法に歯槽骨整形術があります。顎の骨を部分的に削って凹凸を無くすため、汚れが溜まりにくい状態にさせることができます。
歯周組織再生療法
歯周病によって大きく破壊された歯の周りの組織は、自然に回復することはほとんどありません。部分的に顎の骨が痩せた(吸収した)場合は、次の方法によって失った組織の再生を促します。
- エムドゲイン法
- 歯茎を切り開いたところに、エムドゲインジェル(歯の成長に関与すえるタンパク質)を投与して、失った組織の再生を待つ方法です。エムドゲインジェルの主な成分は、ブタの歯胚から抽出したエナメルマトリックスたんぱく質です。この方法では、完全に再生させることはできませんが、ある程度の再生は期待することができます。
- GTR法
- 歯茎を切って開いたところに、「メンブレン」という膜を置き、失った組織の再生を待つ方法になります。この方法で用いるメンブレンは、主に患者様自身の血液から生成する方法を行っており、感染の危険性が極めて低い状態で、骨の再生を期待することができます。
噛み合わせを改善させる審美歯科
- フラップ手術などによるプラークの徹底除去、骨造成手術による骨量の改善、そこにプラスする治療で被せ物による噛み合わせの改善(審美歯科)があります。
フラップ手術を受けても、噛み合わせに問題があれば、そこに食べ残しなどが詰まり、さらなる歯周病の温床になってしまいます。当院では、噛み合わせを改善するため、審美性の高いジルコニアなどを使い、被せ物治療を行い、清掃性の高い口腔内を取り戻します。
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歯科治療痕にも歯周外科治療
- 虫歯治療などの治療痕(被せ物)が原因で、歯ぐきが腫れたり、歯ぐきが後退するケースも歯周外科で治療が可能です。
歯ぐきと被せ物の間に隙間ができ、清掃性が悪化するケースも多く、そこから歯周病を起こすケースがあります。まずは被せ物を除去し、APF(歯肉弁根尖側移動術)やFGG(遊離歯肉移植術)法などの治療を行い、適切な清掃性の高い被せ物を装着して治療します。
歯周外科のメリットとデメリット
歯周外科のメリット
- 歯周病が進行していても、汚れが溜まりにくい環境を再び作る事ができる。
- 被せ物の精度をあげられるので、隙間を作らず掃除しやすい歯にできる。
- なくなってしまった骨もある程度までは増やすことができる。
- 硬い健康な歯茎を取り戻せる。
歯周外科のデメリット
- 麻酔が必要であり、痛みを伴う。
- 完全治癒するのに時間がかかる(~6ヶ月ほど)。
- 治療によっては自費診療になり、費用が高額になる場合がある(基本は保険適用)。